裁定書 申立人 名称:株式会社ドワンゴ 代表取締役 小林 宏 住所:東京都中央区日本橋浜町二丁目31番1号 代理人:弁護士 林 康司 同 網野精一 同 中村 閑 登録者 氏名:高野 大 住所:不詳 日本知的財産仲裁センターの紛争処理パネルは、JPドメイン名紛争処理方 針、JPドメイン名紛争処理方針のための手続規則及び日本知的財産仲裁セ ンターJPドメイン名紛争処理方針のための手続規則の補則並びに条理に則 り、申立書・提出された証拠に基づいて審理をした結果,以下のとおり裁定 する。 1 裁定主文 ドメイン名「DOWANGO.JP」の登録を申立人に移転せよ。 2 紛争に係るドメイン名は「DOWANGO.JP」である。 3 手続の経緯 別記のとおり 4 当事者の主張 a 申立人の主張 (1)申立人 申立人は、ネットワークエンターテイメントコンテンツ及びシステムの企 画、開発、運用、サポート及びコンサルティングを主要事業として、平成9 年に設立され、東京証券取引所市場第一部にその株式を上場している株式会 社である(甲1~3)。 申立人は、その設立以来、「DWANGO」及び「ドワンゴ」のブランドネー ムの下、携帯端末向けコンテンツ事業やネットワークゲーム事業を中心に 様々なコンテンツ事業を展開してきた。特に携帯電話向けコンテンツ配信サ ービスの分野においては、高品質な着信メロディを強みにした総合着信メロ ディサイト「いろメロミックス」の配信を平成13年に開始し、この「いろ メロミックス」はいわゆる携帯電話世代からの圧倒的支持を受け、平成17 年には利用者数400万人という規模にまで成長している(以上につき甲2)。 (2)申立人の商標登録 申立人は、次の登録商標を有している(甲4~6)。 (A) 商標:ドワンゴ 登録番号:4822657 登録日:平成16年12月3日 出願日:平成16年3月30日 指定商品:第9、38、41、42類 (B) 商標:DWANGO 登録番号:4822658 登録日:平成16年12月3日 出願日:平成16年3月30日 指定商品:第9、38、41、42類 (C) 商標:dwango 登録番号:4822659 登録日:平成16年12月3日 出願日:平成16年3月30日 指定商品:第9、38、41、42類 申立人は、以上の他にも、「ドワンゴ」「DWANGO」「dwango」の文字列 を含む商標について多数の商標登録を有している(登録4457291号、 登録4471152号、登録4579410号、登録4653691号。甲 7~10)。 (3)申立人の商標の著名性 申立人は、平成9年の会社設立以来、「DWANGO」及び「ドワンゴ」の標 章を用いて、「いろメロミックス」関連のコンテンツ提供事業を14種、ゲー ム等その他のコンテンツ提供事業を13種、計27種の事業の企画・開発・ 配信を行っており(甲11)、利用者数約400万人という数字に端的に表れ ているとおり、全国の極めて多数の需要者にサービスを提供している。 また、申立人は、「DWANGO」「ドワンゴ」の名称について、全国の放送局 を通じて毎月約200本のTVコマーシャルを放映している。 また、申立人は、「倖田來未」や「安室奈美恵」などの著名アーティストと のタイアップ事業を積極的に推進している(甲12)。申立人の「DWANGO」 「ドワンゴ」「DWANGO いろメロミックス」「ドワンゴ いろメロミックス」 などの名称は、このような積極的な広告宣伝手法によって需要者間に強い著 名性を獲得するに至っている。 これらに加えて申立人は、スポーツイベントやコンサート等の主催・協賛 を通じた広告宣伝活動も広く行っている(甲13の1~3)。また、多数の著 名アーティストを擁する音楽ソフト会社であるエイベックス社が毎年開催し ている大型コンサート「a-nation」について申立人は平成14年の第1回以 来公式協賛スポンサーとなっている(甲14)。 その他、申立人は、ウェブサイト、ラジオ等の各種広告宣伝活動を行って おり(甲15~17)、「DWANGO」及び「ドワンゴ」の表示が申立人の商号 及びその営業表示として若年層や青年層を中核とする需要者の間で極めて著 名な商標ないし営業表示であることは明らかである。 以上の事実は、インターネット検索エンジンにおいて「ドワンゴ」及び 「DWANGO」の語を含むウェブサイトを検索した結果からも裏付けられる。 すなわち、インターネット検索エンジン「Google」によれば、「ドワンゴ」に ついて約60万5000件、「DWANGO」について約30万5000件、同 じく「Yahoo」によれば「ドワンゴ」について約49万件、「DWANGO」に ついて約36万件のウェブサイトが検索され、そのいずれもが申立人の会社 またはその事業に関するものであり(甲18~21)、「DWANGO」及び「ド ワンゴ」の表示が申立人の商号及びその営業表示として著名なものであるこ とは明白である。 (4)登録者によるドメイン名の登録 登録者はドメイン名「DOWANGO.JP」(以下「本件ドメイン名」という) をJPRSに登録している(甲22)。 (5)登録者のドメイン名が、申立人が権利または正当な利益を有する商標そ の他表示と同一または混同を引き起こすほどに類似していること 本件ドメイン名「DOWANGO.JP」は、トップレベル・ドメイン部分(.JP) を除くと、その要部は「DOWANGO」であるところ、申立人の登録商標であ る「DWANGO」とは、「O」の一文字がDとWの間に付加されている点を除 き同一であり両者は酷似している。 また、本件ドメイン名「DOWANGO」に接した一般的な日本人は、これを 「ドワンゴ」と称呼することは明らかであり、この称呼は申立人の登録商標 「ドワンゴ」と同一である。また前述のとおり、申立人の商標「DWANGO」 の我が国における呼称ないしカタカナ表記が「ドワンゴ」であることは需要 者の間で周知である。 申立人の商標である「ドワンゴ」をローマ字表記すると本件ドメイン名の 要部と同じ「DOWANGO」となることから、実際にも需要者において誤認・ 混同を極めて生じやすく、この誤認・混同は現実に数多く生じている。例え ば、インターネット検索エンジンにおいて「DOWANGO」の語を検索すると、 「Google」では約1450件、「Yahoo」では約800件ものウェブサイトが 検索され(甲23、24)、検索される各ウェブサイトにおいては申立人の会 社や事業を指し示す言葉として「DOWANGO」との表記が(誤って)使用さ れている(甲25の1~15)。 このように、本件ドメイン名が申立人が権利を有する商標及びドメイン名 と混同を引き起こすほどに類似していることは明らかである。 (6)登録者が本件ドメイン名についての権利または正当な利益を有していな いと考える理由 「DWANGO」や「ドワンゴ」について申立人が有している商標権や過去及 び現在にわたり行っている活動、これらの商標の我が国における著名性(特 にインターネット分野における高度の著名性)から考えて、本件ドメイン名 を取得しようとした登録者が、その登録時に申立人の上記商標を知らなかっ たということは経験則上あり得ない。 また、申立人商標である「DWANGO」は、「Dial-up Wide Area Network Gaming Operation」の各頭文字を並べた申立人の造語であって、辞書等に 記載された単語ではなく(甲26)、商標やドメイン名として容易に発想・選 択されるようなありふれた語ではない。また、申立人と登録者との間には一 切の資本関係、取引関係、業務提携関係は存しておらず、かつ、登録者の氏 名と本件ドメイン名との間に関連性を見出すこともできない。 申立人が調査した限り、登録者は我が国において「DOWANGO」もしくは これに類する商標登録または商標登録出願を行っていない。また、申立人の 知る限り、登録者は未だウェブサイトを開設しておらず、本件ドメイン名は JPNICにおいて単に登録され、登録者によって保有されているのみであ る。 また、登録者が「DOWANGO」またはこれに類する名称を用いて営業活動 または私的活動を行っている事実は申立人の知る限り認められず、少なくと も一般にそのように認識されているという事実は一切存しない。 以上より、登録者は、本件ドメイン名についての権利または正当な利益を 有していないと考えられる。 (7)本件ドメイン名が不正の目的で登録または使用されていると考える理由 前述のとおり、申立人の商標の我が国における著名性や、当該商標が「あ りふれた名称」ではなく、むしろ相当程度の特異性、独自性を有することか らすれば、登録者が申立人の商標を知らず、これと無関係に本件ドメイン名 を偶然に登録したということは考えられない。また、登録者が本件ドメイン 名について正当な権利ないし利益を有していないと解されることは前述のと おりである。こうしたことを客観的に見た場合、登録者の意図ないし目的は、 申立人の商号・商標と類似する本件ドメイン名を登録することにより何らか の経済的利益を得ることにあると考えざるを得ない。このことは例えば、登 録者がJPRSの公開情報上自らの住所や連絡先を明らかにしていないとい う「匿名性」にも現れていると言うべきである。 申立人の商号・商標の著名性、本件ドメイン名における「DOWANGO」と 申立人の商号・商標との間の誤認混同の事実(この誤認混同が単なるおそれ ではなく、現に生じていることについては前記(4)参照)からすれば、登 録者による本件ドメイン名の使用が未だ無く、単にドメイン名の登録がなさ れているだけであっても、その登録を保有し続けること自体が申立人のイン ターネット上での使用妨害となるから、本件ドメイン名は不正の目的での登 録であると認められるべきである。貴仲裁センターにおける先例においても 同様の判断が多くの事案でなされており、正義に適った適切な判断と言うべ きであるが、本件もこの法理がまさしく該当する事案である。 以上のとおり、本件における登録者は、申立人の著名な商標・商標やドメ イン名と酷似することを認識した上で、これを模倣し、申立人の業務上の信 用及び顧客吸引力にフリーライドするか、または申立人から対価を得るとい う不正な目的で登録を行ったと認められ、本件ドメイン名は不正の目的で登 録されたものである。 b 登録者 登録者によって答弁書は提出されなかった。 5 争点および事実認定 I. 本件裁定の利益 登録者は、2006年11月20日及び24日に、申立人代理人及び日本知的財産仲 裁センターに対し、本件ドメイン名について廃止申請をしたが、JPRSの指 定事業者より本件紛争中につき廃止申請を受理しないとの連絡を受けた旨の電 子メールを送付した。また、JPRSは、処理方針第7条(現状の維持)及び 「汎用 JP ドメイン名登録等に関する規則」第26条の規定により、廃止手続を 行うことはできず、これを実行する意思はない旨の言明をしている。したがっ て、本件ドメイン名の登録は現に存続している。 本件パネルとしては、登録者による廃止の意思表示の真偽に係る証拠がない こと、登録者は廃止意思を有しているとすればその旨の答弁をする機会を有し ていたこと、上記電子メールによる連絡は裁定予定日のわずか1週間前という 時機になされていることをも勘案し、現に本件ドメイン名の登録が存続してい る以上、本件申立人には、なお裁定を受ける利益が存するものと解する。なお、 本件同様の状況において、JP2002-0006裁定が同様の判断を示している。 II. 争点および事実認定 規則第15条(a)は、パネルが紛争を裁定する際に使用することになって いる原則についてパネルに次のように指示する。「パネルは、提出された陳述・ 文書および審問の結果に基づき、処理方針、本規則および適用されうる関係法 規の規定・原則、ならびに条理に従って、裁定を下さなければならない。」 方針第4条aは、申立人が次の事項の各々を証明しなければならないことを 指図している。 (1) 登録者のドメイン名が、申立人が権利または正当な利益を有する商標その他 表示と同一または混同を引き起こすほど類似していること (2) 登録者が、ドメイン名の登録についての権利又は正当な利益を有していない こと (3) 登録者のドメイン名が、不正の目的で登録または使用されていること なお、本件においては、上記のとおり、登録者は答弁書を提出しなかった。こ のような場合、手続規則は、「もし登録者が答弁書を提出しないときには、例外 的な事情がない限り、パネルは申立書に基づいて裁定を下すものとする。」(5 条(f))と定めるとともに、「すべての事件において、両当事者が平等に扱われ、 各当事者のそれぞれの立場を表明する機会が公平に与えられるよう、パネルは 努力しなければならない。」(10条(b))、「いずれかの当事者が本規則の規定もし くは要件またはパネルの要請を履行しないとしても、パネルは適切と思われる 判断を下さなければならない。」(14条(b))とも規定している。したがって、パ ネルは、単に答弁書が提出されなかったことをもって、申立人の主張事実を登 録者が自白したものとみなすことは許されず、証拠に基づいて合理的に判断す べきものと解される。なお、WIPOにおけるUDRP下の裁定においても、登 録者の答弁書不提出は、パネルに対し不利な影響を与えうるが、自動的に申立 人の主張を認める結果をもたらすものではないとの理解がパネルの総意とされ ている(WIPOウェブサイト内の「WIPO Overview of WIPO Panel Views on Selected UDRP Questions」4.6)。 a要件(1)について。 申立人は、「ドワンゴ」の文字からなる商標(登録第4822657号-甲第 4号証)、「DWANGO」の文字からなる商標(第4822658号-甲第5 号証)及び「dwango」の文字からなる商標(第4822659号-甲第 6号証)に係る商標権者である。 他方、本件ドメイン名「DOWANGO.JP」の構成中、「.JP」の部分は 国別コードに過ぎないから、識別機能を有する部分(要部)は「DOWANG O」にあることが明らかである。 申立人の上記登録商標「ドワンゴ」「DWANGO」「dwango」は、い ずれも「ドワンゴ」と称呼され、本件ドメイン名の要部「DOWANGO」の 称呼と同一である。また、申立人の商標「DWANGO」と本件ドメイン名の 要部「DOWANGO」の差異は、中間における「O」の存否のみであり、外観上 も類似している。 また、申立人の商標及び本件ドメイン名の要部は、いずれも特定の意味を有 さず、したがって、両者が観念によって区別されるということもない。 よって、本件ドメイン名は、申立人が権利又は正当な利益を有する商標その 他表示と混同を起こすほど類似するということができる。 b要件(2)について。 本件ドメイン名の構成は、前記のとおり、「DOWANGO.JP」であるが、 登録者は「高野 大」であって、これらの間には表示上の関連は全く認められ ない。 さらに、次の事実が認められる。 ① 申立人は、平成9年の会社設立以来、「DWANGO」及び「ドワンゴ」の標章 を用いて、「いろメロミックス」関連のコンテンツ提供事業を14種、ゲー ム等その他のコンテンツ提供事業を13種、計27種の事業の企画・開発・ 配信を行っていること(甲第11号証)、「倖田來未」や「安室奈美恵」など の著名アーティストとのタイアップ事業を積極的に推進していること(甲第 12号証)、スポーツイベントやコンサート等の主催・協賛を通じた広告宣伝 活動も行っていること(甲第13号証)、ウェブサイト、ラジオにおいて広告 宣伝活動を行っていること(甲第15-17号証)が認められるほか、インター ネット検索エンジン「Google」によれば、「ドワンゴ」について約60万5 000件、「DWANGO」について約30万5000件、同じく「Yahoo」に よれば「ドワンゴ」について約49万件、「DWANGO」について約36万件 のウェブサイトが検索され、これらが申立人の会社ないし事業に関するもの とみられること(甲第18-21号証)から、「DWANGO」及び「ドワンゴ」 の表示は、申立人の商号及び商標として著名となっていることが認められる。 ② 申立人の商号の要部及び上記商標「ドワンゴ」「DWANGO」「dwang o」は、いずれも一般に使用されていない造語と認められる。 ③ 申立人の主張のとおり、特許庁「特許電子図書館(IPDL)」によれば、登録 者は、わが国において「DOWANGO」に係る商標登録または商標登録出 願を行っていないことが認められる。 ④ 申立人主張のとおり、少なくとも「http://www.dowango.jp」をアドレス とするウェブサイトは開設されていないことが認められる。 以上の事実から、登録者が、本件ドメイン名「DOWANGO.JP」の登 録についての権利又は正当な利益を有しているとは認めることができない。 c要件(3)について。 登録者は、答弁書を提出していないので、登録者が本件ドメイン名「DOW ANGO.JP」の登録を取得した目的を直接知ることはできない。 しかしながら、上記5II. b①及び②で認定した事実に照らせば、登録者が、 申立人の著名な商号・商標と無関係に本件ドメイン名を採用したとは、到底認 められない。 すなわち、申立人の商号・商標は造語であること、この商号・商標はすでに 著名となっているものと認められること及び本件ドメイン名がこれに酷似する ものであることを考慮すると、登録者は、申立人商号・商標の有する信用にた だ乗りすることによって、又は、申立人から対価を得ることによって、不正の 利益を得る目的で登録を行ったものと推認される。 さらに、申立人が提出した日本知的財産仲裁センター・センター長宛上申書 及びその添付書類によれば、2006年10月24日に本件ドメイン名の所有者を 名乗る「有限会社シー・アール・シー・エム」の取締役中山敦より申立人代理 人に対し本件ドメイン名を譲渡する旨の電子メールによる連絡があり、同10月 26日には同中山敦より「取得費用等の対価で株式会社ドワンゴ様へ譲渡します」 等と記載した電子メールによる連絡があり,その後登録者「高野大」を名乗る 者から上記会社に本件ドメイン名を譲渡し、譲渡の手続きを行っている旨の電 子メールが送信されたことが認められ、これに反する証拠はない。 しかして、この一連の連絡は、本件及び本件申立人代理人の連絡先を知った 者によって、本件申立に係る手続開始日である2006年9月28日以後になされ ているから、登録者本人及びその関係者からのものと解するのが合理的である。 これによれば、登録者は、本件ドメイン名を「有限会社シー・アール・シー・ エム」に譲渡し、同社はこれを申立人に転売しようとしており、上記のとおり その対価として「取得費用等」という取得費用を超える金額を請求しようとし た事実が認められるうえ(これは、処理方針4条b.(i)の事情に相当する)、同社 が自ら本件ドメイン名を使用する意思なく直ちに転売を図ったことに照らせば、 この転売は単に同社に関係する登録者が対価のつり上げのために行おうとした ものであることが窺われる。 さらに、その後前記5.I記載のとおり、登録者と名乗る者より、2006年 11月20日及び同24日に申立人代理人及び日本知的財産仲裁センターに対し、 本件ドメイン名の廃止をする旨の電子メールが送られたが、上記の転売に係る 状況を併せ考えると、その意思表示には到底信を措くことができず、また、そ の意思を裏付ける証拠もない。したがって、この電子メールによる意思表示を 本件紛争処理において考慮することはできない。 以上のような状況及び事実、とくに本件ドメイン名の対価を得るために本件 手続開始後に直接申立人代理人に接触を図ったという事実並びに登録者が答弁 書を提出しなかったという事実を含めて総合的に勘案すれば、登録者の本件ド メイン名は不正の目的で登録されているものと言わざるを得ない。 6 結論 以上に照らして、紛争処理パネルは、登録者によって登録されたドメイン名 「DOWANGO.JP」が申立人の商標その他表示と混同を引き起こすほど 類似し、登録者が、ドメイン名について権利又は正当な利益を有しておらず、 かつ、登録者のドメイン名が不正の目的で登録されているものと判断する。 よって、処理方針第4条iに従って、ドメイン名「DOWANGO.JP」 を申立人に移転するものとし、主文のとおり裁定する。 2006年11月27日 日本知的財産仲裁センター紛争処理パネル 大 島 厚 単独パネリスト 別記 手続の経緯 (1)申立書受領日 2006年9月22日(電子メール) 2006年9月25日(郵送) (2)料金受領日 2006年9月22日 金189,000円(消費税込)入金 (3)ドメイン名、登録者の確認日 2006年9月22日 センターの照会日(電子メール) 2006年9月25日 JPRSの確認日(電子メール) 確認内容 1) 申立書に記載の登録者はドメイン名の登録者であること (4)適式性 センターは、2006年9月27日、補正申立書がJPNICの処理方針、 規則、補則の形式要件を充足することを確認した。 (5)手続開始日 2006年9月28日 手続開始の通知 2006年9月28日 JPNIC及びJPRSへ(電子メール) 申立人代理人へ(FAX、電子メール及び郵送) (6)登録者・登録担当者への送付、内容及び到達 1)2006年9月28日、センターは申立書及び申立通知書を登録者 及び登録担当者へ郵送した。 2)センターは、答弁書提出期限が2006年10月27日であること を通知した。 3)2006年9月28日、登録者は、電子メールにて、申立書及び申 立通知書を受領した。郵便物は、不在のため返却された。 (7)答弁書の提出の有無及び受領日 提出無 (8)パネリストの選任 申立人は1名パネルを要求 中立宣言書の受領日 2006年11月9日 パネリスト 大島 厚 2006年11月6日 (9)上申書の提出及び受領日 センターは、2006年11月6日に申立人代理人より上申書を受領し た。パネリスト及び登録者に同日付で郵送した。 (10)紛争処理パネルの指名及び予定裁定日の通知日(JPNIC、JPRS及び両 当事者へ) 2006年11月6日(FAX、電子メール及び郵送) 裁定予定日 2006年11月27日 (11)センターは、2006年11月20日、登録者からドメイン名登録破棄 申請を行った旨の連絡を受けた。これに関して、JPRSに問い合わせたとこ ろ、「紛争処理手続中のドメイン名に対する登録者からのドメイン名廃止手 続きは、JPRSでは受け付けません」という回答を受け、申立人と登録者に その内容を通知した。さらに、2006年11月24日、登録者から無条 件で廃止する意向である旨が再度通知された。 (12)パネルによる審理 2006年11月27日 パネルによる裁定